はじめに
肩こりで悩んでいる方は非常に多く、日本人の約7割が肩こりを自覚していると言われています。デスクワークやスマホ操作の普及により、肩こりは「現代病」ともいえるほど身近な不調となっています。
「肩こりを解消したい!」と思ったとき、真っ先に思いつくのは肩をもむ、肩を回すといった動きではないでしょうか?
しかし、理学療法士やピラティス指導者の視点から見ると、実は肩そのものを最初に動かすのは効率的ではありません。
本記事では、肩こりの原因を整理しつつ、肩こり改善の第一歩として最初に動かすべき部位を解説します。さらに、すぐに実践できるピラティス由来のストレッチ・運動も紹介します。
肩こりの主な原因
肩こりは単純に「肩の筋肉が固い」から起こるわけではありません。複数の要因が重なって発生するケースがほとんどです。
1. 長時間の同じ姿勢
デスクワークやスマホ使用によって、同じ姿勢を長時間続けると筋肉が緊張状態になり血流が滞ります。特に僧帽筋上部や肩甲挙筋といった首〜肩の筋肉が疲労しやすくなります。
2. 胸椎・肩甲骨の可動性低下
肩の動きは肩関節単独ではなく、胸椎(背骨の胸の部分)や肩甲骨の動きと連動しています。胸椎や肩甲骨が固まると肩がスムーズに動かず、余計に肩の筋肉が頑張ってしまうのです。
3. 呼吸の浅さ
猫背やストレスの影響で呼吸が浅くなると、胸郭の動きが制限され、肩周囲の筋肉に余計な力が入ります。特に小胸筋や斜角筋など呼吸補助筋が硬くなると、肩こりが悪化します。
4. 筋肉のアンバランス
大胸筋や小胸筋などの前側が硬くなり、僧帽筋下部や菱形筋など背中側が弱くなることで、肩は前に引っ張られます。このバランスの崩れも肩こりの大きな原因です。
よくある肩こりのパターン
肩こりといっても、症状の出方や原因は人によって異なります。以下は代表的な肩こりのパターンです。
- 首の付け根が痛むタイプ:頭を支える筋肉(僧帽筋上部・肩甲挙筋)が緊張
- 肩甲骨の内側が重だるいタイプ:猫背や胸椎の硬さで菱形筋が疲労
- 肩の外側が張るタイプ:肩甲骨の動き不足により三角筋や僧帽筋が代償
- 背中全体が重いタイプ:胸郭が硬く、呼吸が浅くなっている
このように、肩そのものよりも「土台」の問題で肩こりが発生しているケースが大半なのです。
肩こり改善の第一歩|最初に動かすべき部位は?
結論からお伝えすると、肩こり改善の第一歩で動かすべき部位は **「胸椎(背骨の胸の部分)」と「肩甲骨」**です。

胸椎を動かすべき理由
- 胸椎の可動性は肩の動きに直結
- 胸椎が硬いと肩が前に巻き込み、僧帽筋に負担が集中
- 呼吸機能とも連動しており、胸椎を動かすことで呼吸も改善
肩甲骨を動かすべき理由
- 肩甲骨は「肩の土台」であり、ここが固まると肩の筋肉が緊張
- 僧帽筋・菱形筋・前鋸筋などのバランスが崩れると肩こりを助長
- 肩甲骨を正しく動かせると肩の負担が激減
👉つまり、肩を直接ほぐすよりも、胸椎と肩甲骨の動きを取り戻すことが根本改善につながるのです。

肩こり改善に効果的なストレッチ&運動(ピラティス応用)
ここからは、自宅やオフィスでできる「肩こり改善 運動・ストレッチ」を具体的に紹介します。
1. 胸椎の回旋ストレッチ(オープンブック)
胸椎の柔軟性を高める運動です。
やり方
- 横向きに寝て、膝を軽く曲げる
- 両手を前に合わせる
- 上の手を開きながら胸を広げる
- ゆっくり呼吸しながら繰り返す
👉 胸椎の可動性が上がり、肩の負担が軽減します。
2. 肩甲骨のモビリティ運動(プロトラクション&リトラクション)
肩甲骨を前後に動かして可動性を回復させます。
やり方
- 四つ這いになる
- 肩甲骨を背骨に寄せる(リトラクション)
- 背中を押し上げるように肩甲骨を広げる(プロトラクション)
- 10回繰り返す
👉 肩甲骨周囲の血流が改善し、肩こり解消に効果的です。
3. 呼吸と連動した胸郭ストレッチ
呼吸を整えることで胸郭と肩の動きを改善します。
やり方
- 椅子に座り、背筋を伸ばす
- 鼻から息を吸い、胸全体を膨らませる
- 口からゆっくり吐く
- 5回繰り返す
👉 浅い呼吸から深い呼吸に変わり、肩の緊張が取れます。
4. ピラティス式ローリングエクササイズ
背骨全体を動かすピラティス運動です。
やり方
- 両膝を立てて座る
- 背中を丸めながらゆっくり後ろに転がる
- 再び戻ってくる
- 背骨を一つずつ動かす意識で行う
👉 背骨の柔軟性が向上し、肩の負担も軽くなります。
ピラティスが肩こり改善に向いている理由
ピラティスは「肩こり改善」に非常に効果的です。その理由は以下の通りです。
- 全身をつなげて動かす
→ 肩だけでなく背骨・骨盤・体幹を同時に整える - 呼吸法を重視
→ 胸郭が柔らかくなり、肩の余計な力みが取れる - 筋バランスを改善
→ 硬い筋肉を緩め、弱い筋肉を強化できる - マシンでサポート
→ 初心者でも正しい動きができ、安全に効果を得られる

まとめ
肩こりを改善する第一歩は、いきなり肩をもむことではありません。
- 最初に動かすべきは 胸椎と肩甲骨
- 呼吸を整えることで筋肉の余計な緊張を解消
- ピラティスを取り入れることで全身から肩こりを改善できる
「肩こり 改善 運動」や「肩こり 改善 ストレッチ」を探している方は、ぜひ今回紹介した胸椎・肩甲骨のエクササイズを取り入れてみてください。
根本から肩こりを改善したい方は、ピラティススタジオで専門家の指導を受けるのもおすすめです。