「肩が上がってつらい」「リュックがずり落ちる」…こんな肩の悩み、感じたことはありませんか?
実はそれ、「いかり肩」や「なで肩」と呼ばれる肩のアライメントの崩れが関係しているかもしれません。これらは見た目だけでなく、首・肩こり、猫背、肩の痛みなど、さまざまな不調の原因にもなるのです。
今回は、ピラティス指導に携わる皆さんに向けて、
- いかり肩・なで肩の違い
- 関係する筋肉の解剖学的特徴や起始停止
- よくある動作のエラー
- ピラティスでのアプローチ方法
について、深掘りしていきます。
目次
- いかり肩・なで肩とは?
- 解剖学的特徴(関係する筋肉)
- 起始・停止まとめ(きっちり&ざっくりver.)
- 硬いとどうなる?弱いとどうなる?
- よくある姿勢&動作エラー例
- ストレッチとエクササイズ
- まとめ
1. いかり肩・なで肩とは?
● いかり肩(肩の位置が高い状態)
肩が常に上がって見える、首が短く見える、肩こりを感じやすいタイプ。
筋肉的には僧帽筋上部や肩甲挙筋が緊張しやすい。
● なで肩(肩の位置が低い状態)
肩が斜め下に下がって見え、リュックの紐が落ちやすい、猫背がちのタイプ。
僧帽筋上部が弱化し、小胸筋や鎖骨下筋が緊張して肩甲骨が前下方に引かれている状態。
あなたはどのタイプですか???
まずは、ざっくり鏡を見て鎖骨の向きをチェックしてみましょう。
鎖骨の向きがチェックできたら、
より原因を深掘りするために肩甲骨の位置をチェックしてみましょう。
2. 解剖学的特徴|いかり肩・なで肩に関わる筋肉たち
筋肉名 | 概要 |
---|---|
僧帽筋上部 | 肩甲骨を上方に引く。過緊張でいかり肩に。 |
肩甲挙筋 | 頸椎から肩甲骨を引き上げる。 |
小胸筋 | 肋骨から肩甲骨を前下方に引く。なで肩で短縮。 |
鎖骨下筋 | 鎖骨と第1肋骨をつなぐ。鎖骨の下制に関与。 |
前鋸筋 | 肩甲骨を前方・外方へ引く。猫背や巻き肩とも関連。 |
僧帽筋下部 | 肩甲骨の下制に関与。弱いと肩が上がりやすい。 |
3. 起始・停止まとめ(きっちり&ざっくりver.)
◎きっちりバージョン
筋肉名 | 起始 | 停止 |
---|---|---|
僧帽筋上部 | 後頭骨、項靱帯 | 鎖骨外側1/3 |
肩甲挙筋 | C1~C4横突起 | 肩甲骨上角 |
小胸筋 | 第3~5肋骨 | 烏口突起(肩甲骨) |
鎖骨下筋 | 第1肋骨の上面 | 鎖骨下面 |
前鋸筋 | 第1~9肋骨の外側 | 肩甲骨内側縁 |
僧帽筋下部 | 胸椎6~12番の棘突起 | 肩甲棘内側 |
◎ズボラバージョン(指導に便利!)
- 僧帽筋上部:首の後ろから鎖骨へ → 肩を上げる
- 肩甲挙筋:首から肩甲骨へ → 肩甲骨を上げる
- 小胸筋:肋骨から肩甲骨の前へ → 肩を下に引っ張る
- 鎖骨下筋:肋骨と鎖骨をつなぐ → 鎖骨を安定させる
- 前鋸筋:肋骨から肩甲骨の内側へ → 肩甲骨を前にスライド
- 僧帽筋下部:背中の下部から肩甲骨の下へ → 肩を下げて安定
4. 硬いとどうなる?弱いとどうなる?
● いかり肩タイプ
- 硬い筋肉:僧帽筋上部、肩甲挙筋
→ 肩が常に上がっていて、首が詰まる。肩こり・頭痛の原因に。 - 弱い筋肉:僧帽筋下部、前鋸筋
→ 肩甲骨の下制・安定ができず、肩が上がりやすい状態に。
● なで肩タイプ
- 硬い筋肉:小胸筋、鎖骨下筋
→ 肩甲骨が前に倒れ、胸が閉じた姿勢に。巻き肩にもつながる。 - 弱い筋肉:僧帽筋上部・肩甲挙筋
→ 肩が持ち上げられず、肩が下がりすぎて肩関節が不安定に。
5. よくある姿勢・動作のエラー例
【いかり肩のクライアントに多い例】
- 肩をすくめたまま腕を上げてしまう(肩のインピンジメント)
- 呼吸が浅く、胸式呼吸になりやすい
- 緊張すると無意識に肩が上がってしまう
【なで肩のクライアントに多い例】
- 肩甲骨が前に傾き、腕が内巻き(巻き肩)
- リュックがずり落ちやすい
- 腕を横に上げたときに肩が安定せず、痛みを感じる
6. ストレッチ&エクササイズ
【いかり肩改善】
▶ 僧帽筋上部ストレッチ
- 片手を腰に添え、反対側の手で頭を持つ
- 首をゆっくり横に倒す
- 肩甲骨を下に引くイメージで20秒キープ
→ 左右2〜3回ずつ
▶ 肩甲骨下制エクササイズ(ロングバックストレッチ)
- 座位または立位にて、肩甲骨の挙上下制を行う。
- 前胸部のストレッチ感、僧帽筋下部を刺激。
【なで肩改善】
▶ 胸椎の感覚を入れましょう(バックエクステンション)
- うつ伏せで骨盤の前傾後傾を行い、骨盤の動く感覚を掴む
- お腹に収縮感が入った状態で胸椎の伸展を行います
- 背中の中央に効いている感じがあればOKです
▶ 胸椎の感覚と僧帽筋下部、前鋸筋を鍛えよう。
1,うつ伏せの状態から上体を起こし胸椎の感覚を掴む
2,お腹の収縮感抜けずに行います
3,脇を挟むイメージで床を押し僧帽筋下部、前鋸筋を鍛えます。
7. まとめ
いかり肩・なで肩は、筋バランスと姿勢の崩れからくる「肩の位置異常」です。
放っておくと、以下のような不調につながる可能性があります:
- 慢性的な肩こり・首こり
- 頭痛や腕のしびれ
- 猫背や巻き肩の進行
- 呼吸の浅さ・胸郭の硬さ
ピラティスでは、肩甲骨の動き・安定性・呼吸を意識することで、筋肉のバランスを整え、自然な肩の位置へと導いていきます。
いかり肩の方には「肩甲骨を下げる感覚」、なで肩の方には「肩を引き上げる安定感」を意識させながら、それぞれに合ったエクササイズを提供していきましょう。
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