「多裂筋(たれつきん)の鍛え方が知りたい」
「腰痛や姿勢の崩れを整えたい」
多裂筋は、背骨を深層から支えるインナーマッスルで、衰えると腰痛や姿勢の崩れにつながることがあります。自宅でのトレーニングやストレッチで働きを取り戻しやすいため、正しい方法を知ることが第一歩です。
そこで本記事では、多裂筋の鍛え方やストレッチ、脊柱起立筋との違いまでを詳しく解説します。
- 多裂筋がある場所と働き、脊柱起立筋との違い
- 多裂筋が弱ると腰痛・姿勢にどう影響するか
- 自宅でできる多裂筋の鍛え方とストレッチの手順
- プランクで鍛えられるのか、続けるとどう変わるのか
多裂筋は、背骨を一つひとつ安定させる深層の筋肉です。臨床でも、表層の脊柱起立筋ばかりを使ってしまい、深層の多裂筋がうまく働けていない方は少なくありません。「運動が苦手」「一人だと続かない」という方は、専門家のサポートで深層から整えられるピラティスを取り入れるのもおすすめです。今回紹介する内容を参考に、無理のない範囲で始めてみてください。
多裂筋とは?背骨を支える深層のインナーマッスル

多裂筋は、背骨を1つずつ支える深層のインナーマッスルです。表層の大きな筋肉のように体を大きく動かすのではなく、背骨を内側から安定させることを主な役割としています。
多裂筋がある場所
多裂筋は、背骨(脊柱)に沿って、首の骨(頚椎)から胸椎・腰椎・仙骨まで連なる細かい筋肉です。多くは1つの椎骨から2〜4個上の椎骨へ斜めに付着しながら、背骨を縦につないでいます。
位置としては、背中の表面近くにある脊柱起立筋などの表層筋よりもさらに内側にあります。体の奥で背骨を1つずつ支えているため、外からは触れにくい筋肉です。
多裂筋の働き(作用)
多裂筋の本質的な役割は、動作中に背骨(椎骨)を安定させることです。解剖学的には、両側が同時にはたらくと背骨を伸ばし(伸展)、片側だけがはたらくと背骨をひねる・横に倒す動きを補助します。
ただし、深層にある多裂筋は背骨を大きく動かすというより、背骨一つひとつを適切な位置で支え、微細な動きをコントロールする働きが大きいとされています。歩いたり手足を動かしたりするときに多裂筋が先行して働くことで、背骨の安定性が高まり、腰への負担が軽くなると考えられています。腹横筋・骨盤底筋・横隔膜と協調しながら、体幹を内側から支える「天然のコルセット」の一部です。
多裂筋は「背骨を動かす筋肉」というより、「動いている背骨を適切な位置で支え、ブレを抑える筋肉」として捉えるとイメージしやすいです。歩行時や手足を動かす際に多裂筋が先行して働くことで、脊柱の安定性が高まり、腰部への負担が軽減すると考えられています。まずは「背骨を支える筋肉がある」と意識するところから始めると、エクササイズの効き方が変わってきます。
脊柱起立筋との違い
多裂筋と混同されやすいのが、脊柱起立筋です。両者は同じ背中の筋肉でも、役割が大きく異なります。
| 筋肉 | 位置 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 脊柱起立筋 | 表層(アウター寄り) | 背中を大きく反らす・起こす |
| 多裂筋 | 深層(インナー) | 背骨を1つずつ固定して安定させる |
脊柱起立筋が「大きく動かす」担当であるのに対し、多裂筋は「細かく支える」担当です。姿勢を長時間保ったり、動作のブレを抑えたりするうえでは、深層の多裂筋がうまく働くことが大切です。
多裂筋が弱るとどうなる?腰痛・姿勢の崩れとの関係

多裂筋が衰えると、背骨を1つずつ支える力が落ち、腰痛や姿勢の崩れにつながりやすくなります。主な変化を3つに整理しました。
- 腰痛が起こりやすくなる
- 姿勢が崩れる(反り腰・猫背・左右差)
- 一度弱ると自然には戻りにくい
腰痛が起こりやすくなる
多裂筋が弱ると、背骨を1つずつ支えきれず、腰への負担が増えていきます。背骨の安定が失われると、その分の負荷が腰まわりの組織に集中しやすくなるためです。
実際に、慢性腰痛のある人では、多裂筋の萎縮や、筋肉への脂肪のまじり込みがMRIや超音波で報告されています。腰痛と多裂筋の状態には関連があると考えられており、腰の不調を「筋肉の使い方」の面から見直す視点が大切です。
姿勢が崩れる(反り腰・猫背・左右差)
多裂筋が支える力を失うと、腰が反る・背中が丸まるなど、姿勢が崩れやすくなります。背骨を内側から支える土台がぐらつくためです。
さらに、多裂筋は腹横筋や骨盤底筋と協調して働いています。この連携が乱れると、立ち姿勢・座り姿勢が崩れやすくなり、反り腰や猫背、体の左右差につながることもあります。反り腰が気になる方は、反り腰改善に役立つストレッチ3選!原因や放置するリスクも徹底解説を参考にしてみてください。デスクワーク中心で同じ姿勢が続く方ほど、こうした崩れが定着しやすい傾向にあります。
一度弱ると自然には戻りにくい
見落とされやすいのが、多裂筋は一度弱ると自然には回復しにくいという点です。急性の腰痛のあとに起きた多裂筋の萎縮は、痛みが治まっても自動的には元に戻りにくいとされています。
つまり「痛みが引いた=治った」とは限りません。回復には、意識的なトレーニングによる筋肉の再教育が必要です。痛みが落ち着いたあとに鍛え直すことが、腰痛の再発予防の鍵です。
自宅でできる多裂筋の鍛え方

自宅で多裂筋を鍛えるトレーニングは、「四つ這い」姿勢で行う種目が中心です。回数や負荷よりも、正しいフォームで深層の筋肉を使えているかが何より重要です。
- 肩の真下に手、股関節の真下に膝をつく
- 頭からお尻までを一直線に保つ
- お腹を軽くへこませ、腰を反らさない
腰を反らせたり体がぶれたりする「代償動作」が出ると、表層の筋肉が主役になり、狙った多裂筋に効きにくくなります。まずは正しく続けられる範囲から始めましょう。なお、プランクは表層が主役になりやすく、深層の多裂筋を選んで鍛えるにはやや不向きです。四つ這い系で深層を再教育してから取り入れると効果的です。
バードドッグ(ダイアゴナル)
バードドッグは、多裂筋トレーニングの代表種目です。四つ這いの姿勢から、対角の手脚(右手と左脚など)をゆっくり伸ばしていきます。
- 四つ這いになり、お腹を軽くへこませる
- 右手と左脚を、床と平行になるまでゆっくり伸ばす
- 体幹をブレさせず、骨盤を水平に保ったまま数秒キープする
- ゆっくり戻し、反対側も同様に行う(左右10〜15回が目安)
ポイントは、手脚を高く上げることよりも、背骨と骨盤をブレさせないことです。鏡で横から確認すると、フォームの崩れに気づきやすくなります。
四つ這いアームリーチ/ヒップエクステンション
バードドッグが難しい場合は、片手だけ・片脚だけの易しいバリエーションから始めます。動きを分けることで、フォームを意識しやすくなります。
- 四つ這いアームリーチ:片手だけを前に伸ばし、体幹を安定させる
- 四つ這いヒップエクステンション:片脚だけを後ろに伸ばす(10〜20回が目安)
片側ずつの動きに慣れたら、対角の手脚を同時に動かすバードドッグへ進みましょう。ヒップエクステンションは背面の安定筋にも働きかけるため、四つ這い系の入門種目として取り入れやすい動きです。
ヒップリフト/ドローイン(仰向け系)
四つ這いが中心とはいえ、仰向けで行う補助的な種目も役立ちます。
- ヒップリフト:仰向けでお尻を持ち上げ、背面とお尻をまとめて使う
- ドローイン:仰向けでお腹をへこませる呼吸で、腹横筋とともに深層を働かせる
特にドローインで腹横筋を働かせると、多裂筋も使いやすくなります。多裂筋を狙う主役はあくまで四つ這い系ですが、仰向け系を組み合わせると深部の感覚をつかみやすくなります。
これらのトレーニングは、一般的に週2〜3回が目安とされ、痛みの出ない範囲で続けることが大切です。腰に鋭い痛みやしびれが出る場合はすぐに中止し、医療機関に相談してください。
初心者の方がやりがちなNGフォームと注意点をまとめました。臨床でも、次の4点でつまずく方が多くいらっしゃいます。
- 腰を反らせてしまう:脚を高く上げようとして腰が反りがちです。高さより、腰椎を安定させることを優先しましょう。
- 骨盤が左右に傾く・回旋する:手脚を動かすと骨盤が動きやすくなります。骨盤をできるだけ安定させて行うのがポイントです。
- 呼吸を止めてしまう:インナーマッスルは呼吸と協調して働くため、動作中も自然な呼吸を続けてください。
- お腹を強く固めすぎる:力みすぎると呼吸が止まり、体幹の協調が低下します。「軽くお腹を支える」程度で十分な場合が多いです。
正しいフォームが分からない・一人だと続かないという方は、専門家のサポートで深層筋を効率よく鍛えられるマシンピラティスも選択肢の一つです。
多裂筋をゆるめるストレッチ・ほぐし方

多裂筋が固まると、トレーニングが効きにくくなることがあり、腰の張り感につながることもあります。そのため、「ほぐす→鍛える」の順で整えるのがおすすめです。ここでは自宅でできるストレッチを紹介します。
寝ながらできる多裂筋ストレッチ
仰向けのまま、背骨まわりをやさしくゆるめるストレッチです。寝る前やお風呂上がりにも取り入れやすい動きです。
- 仰向けになり、両膝を抱えて背中(腰部)をゆっくり丸める
- その姿勢で数回呼吸し、腰まわりの伸びを感じる
- 両膝をそろえて左右に倒し、背骨を軽くひねる
- いずれも痛みのない範囲で、ゆっくり行う
反動をつけず、呼吸を続けながら行うのがポイントです。
四つ這いでの背骨ストレッチ(キャット&カウ)
キャット&カウは、背骨を1つずつ動かして多裂筋まわりをゆるめる動きです。トレーニング前のウォームアップにも向いています。
- 四つ這いになり、肩の下に手、股関節の下に膝をつく
- 息を吐きながら背中を丸める(キャット)
- 息を吸いながら背中をゆるやかに反らす(カウ)
- 呼吸に合わせて、ゆっくり繰り返す
ストレッチは「気持ちよく伸びる」範囲で十分です。痛みをこらえて無理に動かすと、かえって筋肉が緊張してしまいます。呼吸を止めず、ゆっくり背骨を動かすことを意識してみてください。固さが強い方は、ほぐしてから鍛えると深層筋が働きやすくなります。
多裂筋の鍛え方に関するよくある質問

多裂筋の鍛え方について、よく寄せられる質問にお答えします。
- 多裂筋はプランクで鍛えられますか?
プランクでも多裂筋は働きますが、それだけで狙って鍛えるにはやや不十分です。プランクは体幹全体を使う種目で、表層の筋肉が主役になりやすいためです。
まずはバードドッグなどの四つ這い系で深層を再教育し、多裂筋を使う感覚をつかんでからプランクを取り入れると、体幹をバランスよく鍛えられます。
- 多裂筋を鍛えるとどうなる?
多裂筋を鍛えると、背骨が安定し、腰痛の予防・軽減や姿勢の改善が期待できます。背骨を内側から支える力が戻るためです。
体幹が安定することで、立ち姿勢・座り姿勢が崩れにくくなり、長時間のデスクワークでも疲れにくい体を目指せます。
- 多裂筋を鍛えるにはどのくらいかかりますか?
変化を感じるまでの期間には個人差があり、数週間〜数か月ほどかかることが多いとされます。続ける頻度は週2〜3回が目安です。
回数を増やすことよりも、痛みの出ない範囲で正しいフォームを続けることが、変化を実感する近道です。あせらず、フォームの質を保ちながら続けましょう。
多裂筋を鍛えて腰痛・姿勢を整えていこう
多裂筋は、背骨を1つずつ支える深層のインナーマッスルです。衰えると腰痛や姿勢の崩れにつながることがあり、一度弱ると自然には戻りにくい場合もあるため、意識的に鍛え直すことが再発予防に役立ちます。鍛え方はバードドッグなどの四つ這い系を中心に、ストレッチで「ほぐしてから鍛える」順番を意識し、週2〜3回・正しいフォームで続けることが大切です。痛みやしびれがあるときは無理をせず、医療機関に相談してください。
自己流でフォームに不安がある方や、一人では続けにくいという方には、専門家のサポートを受けられるピラティスがおすすめです。Nピラティスでは、理学療法士が監修した独自の姿勢・動き分析をもとに、一人ひとりに合わせてマンツーマンで指導するオーダーメイドのマシンピラティスを提供しています。800種類以上のエクササイズから、多裂筋をはじめとする深層筋を無理なく鍛えられるため、「運動が苦手」「何から始めればいいか分からない」という方でも安心です。
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